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幕末の宣伝戦「水戸天狗党と諸生派」 (1)

 先月、茨城県立図書館から借りてきた本「茨城地方史の断面(瀬谷義彦氏著)」の中に興味ある内容が書かれていましたので、何回かに分けてご紹介したいと思います。タイトルは「水戸天狗党と諸生派」で、元治元年藤田小四郎らが筑波山に挙兵した際に決起の意義と参加を呼びかけた「天狗党の檄文」と、それに対抗して弘道館文武諸生が出した「建言書(存意書)」について瀬谷義彦先生が「幕末の宣伝戦」という視点で論じています。

天狗党の檄文
 元治元年(一八六四)三月二十七日、水戸尊攘派天狗党の筑波挙兵は、幕末維新史に重大な一石を投じた。これを契機に西南雄藩の動きはより活発化し、その有志らは維新への道を急速に歩み始めることになる。水戸藩では、それとは逆に藩政は混迷の度を深め、維新への道に背を向けるような内部の紛争が続く。
 宣伝(プロパガンダ)という言葉は、日本人には長い間、余り芳しいものと考えられていなかったように思われる。それは自己宣伝に端を発して、宣伝屋などという言葉が好まれないようなものである。近代以前の儒教的倫理思想に長く支配されていた日本人は、近代自我の覚醒によって、自己の主張主義を他人に堂々と伝えることの必要性を自覚するようになって以来、宣伝は商売上のことだけではなく、政治その他の世界でも常識化した。
 今回は天狗党の挙兵を契機に、二分された水戸藩内部の勢力が、それぞれ自派の主義主張を宣伝して、その効果を願った事実を「宣伝戦」として把えてみようとするものである。

 最近私は「戦国時代は各武将の宣伝戦でもあった」という、作家童門冬二氏の「戦国武将の宣伝術」という本を読んでみた。また天野祐吉氏の「私説広告五千年史」もみたが、広告は宣伝の一方法であると考えると、広告の歴史は人間の歴史そのものであるという著者の説明も頷ける。人間は常に自己主張の正当性を他人に向かって説明する天性をもっている限り、宣伝は人間生活、人間の歴史から切り離すことは不可能である。
 さて、今回は天狗党争乱の初期の段階で作成された二つの宣伝を取り上げることにする。その一つは天狗党の檄文であり、他の一つは水戸弘道館文武諸生一同による建言書である。
 前者の檄文は記録によっては廻文などとも記されている。要するに天狗党の主義主張を天下に宣伝したもので、時期は元治元年四月九日とされる。挙兵の主唱者だった藤田東湖の子小四郎らが筑波山に挙兵したものの、十分な成果が期待できず、四月二日下山して日光東照宮に参詣して、神祖家康の霊前で尊王攘夷の実行(成就)を祈願、あわよくば聖地日光山を根拠地として、挙兵の実を有利に展開しようとしたが、宇都宮藩幹部の策によってそれも挫折し、栃木の大平山に本陣を定める直前、檄文が表明されたものとみられる。
 その内容については後述するとして、起草者については特定できないが、内容や前後の関係からして藤田小四郎の線は動かないだろう。なお小四郎とともに挙兵の発起人の一人とされる岩谷敬一郎の自伝から判断すると、小四郎の外首領の田丸稲之衛門、岩谷敬一郎、それに小川郷校の幹部で挙兵発起人の一人竹内百太郎らが作成に関係したのではないかと思われる。
 これに対するもう一つの宣伝は、檄文から約一ヶ月後、五月はじめに出された「水戸弘道館諸生の建言書」である。これは存意書、意見書などとも呼ばれているが、私は『水戸藩史料』によって建言書と言うことにする。これは那珂川下流辺りから太平洋を一望に収める景勝の台地を境内とする、親鸞ゆかりの名刹願入寺に、弘道館の文武諸生数十名が五月二日集会を開いた際、その指導的役割を果たした反天狗鎮派の重鎮内藤耻叟の起草になるものである。
 これは後述するように大きな影響力、宣伝効果を発揮しただけに、その筆者について諸説があったが、最も有力視されていたのは内藤であった。だが、その決め手がなかった。ところが、彼の晩年作と考えられる「水戸小史」(未刊本)に、はっきり自分が書いたと記していることで確定したといってよい。(つづく)
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プロフィール

鯉渕義文

Author:鯉渕義文
1945年、那珂市生まれ。茨城大学教育学部を卒業後、教員として那珂湊水産高校、鉾田二高、太田二高などに勤務。退職し現在は桜田門外の変同好会代表幹事。

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