FC2ブログ

桜田門外の変「情念の炎」ブログへようこそ

                 桜田門外の変「情念の炎」ホームページはこちら
本日も、当ブログへアクセスしていただき、誠に有難うございます。皆様のお陰で、3年間にわたって挑戦してまいりました執筆活動も無事、終了することが出来ました。心より厚く御礼申し上げます。ブログでは、時折々に思いついたこと、感じたことなどを皆様方と対話するような気持ちで綴ってまいりますので、引きつづき宜しくお願い申し上げます。
  

FC2ブログランキング
←ご協力お願いします

弘道館の戦い (最終回)

市川三左衛門の行方と弔魂碑

  松山での戦いで市川勢は壊滅し、三十人程が逃走したというが、首領の市川三左衛門はその中の一人で単独行動をとった。前記「松山戦争」には、「敗兵者怪我人十人斗り踏止リ(中略)其時一同此処ニテ討死スベシト云ヘバ、死ハ一旦ニハ安シ、一先ズ落行キ.時節ヲ待ツベシト無理ニ落シ(中略)其時市川一人小松山ノ中ヨリ名乗リ出デ、大太刀ヲ真向ニ振上ゲ切ッテ出ル。其物凄サ、又獅子奮迅ノ怒ヲナシ、古へ鳥江ノ大合戦ノ項羽ノ再来カト皆恐怖ノ色ヲ顕ハシ、或ハ鑓ノ柄ヲ切折ラレ、或ハ鑓ノコミノ所ヲ切リヌカレ、又々天狗勢敗走ス」などと、市川を合戦物語の中の猛将に仕立てるような書きぶりも見られる。
 ともかくも市川は追手を逃れて高野村(千葉県八日市場市)の剣士大木佐内の家を訪れ、右腕の深手の手当てを受け、しばらくそこに匿われていたが、やがて村人に気付かれ、大木の助けを得て東京に出たという。
 大木については、市川とかねて知己の間柄にあったとして、市川の計画中に大木のことは予定されていたという説もあるが、「八日市場市史」は「諸生党隊長の市川が銚子を脱出した直後から大木を頼って八日市場に向かったことは考えられない」としている。

 市川は東京で久我三左衛門と変名し、娘のむ嫁ぎ先の報徳寺に一時潜伏していたが、やがて青山百人町の剣道師範村松某の家に移り潜居していたところを、明治二年二月二十六日、水戸の捕吏に捕まえられ(山形紘氏著「水戸藩の戊辰戦争」)、同年四月三日「叛逆無道重々不行届き至極大胆の致し方に付、後昆の誡として、上下御町引き渡し、生き晒らしの上、長岡原に於て、逆磔に行ふ者也」として、史上稀な逆磔という方法で処刑された。
 明治新聞の抜書きという「水戸藩紀事」には、「水藩元家老市川三左衛門昨辰年脱走して奥州より(中略)先頃東京青山辺剣術師範人の家に潜伏せしを水戸神勢隊に召捕、水戸表に引れしが四月上旬水戸長岡原に於て逆磔に掛けられたり、尤逆磔といふは生なから逆さまに致し晒し置其上にて突殺し候由、元来人を逆さまに致し置時ハ忽ち死する故、額に穴を明け血を出し候得ハ生き居候由ニて、三左衛門の額を錐にてもみぬき穴を明け、其党数人残らず刑せらるゝを見せ其上にて突殺候事のよし」と、その悲惨な様を説明している。
 また処刑の日の光景を「長岡原の刑場へ見物人山の如く詰め掛け尺寸の地をも余さず、並木の両側へは飴菓子などを売る商人等余多見世を張り其状恰も祭礼場の如し、刑場へ斯く大勢出掛けしは前代未聞と人々語り合へり」と伝える一本もあるが、水戸藩党争の結末の哀れさは、「前代未聞」といわれた一般民衆の姿にも暗い影を落としているようである。
 八日市場のかつての戦跡「脱走塚」には、大正十五年四月、「水戸藩士志士弔魂碑」が地元の有志を中心に建立された。その碑文は、戦没者朝比奈弥太郎の縁者で、当時東京の操觚界において一家を成していた朝比奈知泉が書いている。知泉は私情をおさえた文章で、「生父、伯叔父と従兄皆国難に斃る。今翁に頼りて一門奮闘宗家陣歿の跡を審らかにしたり」と記し、市川勢の敗退を「国難」にたおれたとしている。
 その後、昭和四十一年十月には、松山戦争百年を記念して百年祭が八日市場市の手で行われ、水戸からは代表が参列して「脱走塚」の墓前に梅樹を植えて慰霊の意を表した。いま激しかった党争終末の地は、さまざまな思いを後世に語りかけている。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

鯉渕義文

Author:鯉渕義文
1945年、那珂市生まれ。茨城大学教育学部を卒業後、教員として那珂湊水産高校、鉾田二高、太田二高などに勤務。退職し現在は桜田門外の変同好会代表幹事。

「情念の炎」上巻、中巻、下巻
 「情念の炎」下巻
この本を購入する
茨城県内一部店舗で販売しています
義援金募集
FC2「東北地方太平洋沖地震」義援金募集につきまして
FC2はユーザーの皆様から募金を募り義援金として支援を実施いたします。
映画「桜田門外ノ変」
桜田門外ノ変映画予告編 桜田門外ノ変メイキング 主題歌alan/悲しみは雪に眠る
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
リンク
検索フォーム
QRコード
QR